ALOHA-OTANIの日記

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いっこ残ってるよ

いい大人になってから、実家で夕飯を食べていたときのこと

献立のメインは唐揚げかなんかだったと思う
もうそろそろ食事も終わりってタイミングで、お袋が(いつもの調子で)
「ほら、アロハ(仮)、まだいっこ残ってるよ」
と言った

そこでおれは「ああ、お袋食っていいよ」
と答えた、その時、

お袋の動作と表情がピタッと止まった
親父もピタッと止まった

そしてお袋が
「な、なんか、これまでごめんね」
と言ったのだ

いや、おれは特に何も考えずに答えたのだが、あの時の親父、お袋の表情がすべてを語っていた

「よかれと思って、食べさせてあげたいと思って言っていたけれど、もしかして私たちはこの子に残り物を無理強いしていたのではないか?」

いや、ほんとうにおれはなんとも思ってなかったし、なんなら食えるし好きなもの食えるのは嬉しいし

だけどこの一言がその時それぞれにひとつの気づきをもたらしたのである

「言われて初めて分かること」
「よかれと思って、から先に進まない思考停止の罠」
「何気ない一言の怖さ」

これはおれにも刺さった

今さら親にこんなことを気づかせてしまった
これまでのことに感謝こそすれ、イヤミみたいなことを言うつもりなど毛頭なかったのに

でもやはり、この出来事があって良かったとは思う

互いに、もう一段よく考え、気遣うことが出来るようになったと思う

そして、親や子だけでなく、他の人に対しても、むしろ他人に対してこそそうあらねば、と思う


ほら、まだいっこ残ってるよ


無理して食べなくても、残していいんだからね


難しいね