さっき、長年ほったらかしていた宿題のような「やり残し」を終わらせた。
「さよなら銀河鉄道999」を観終わらせたのだ。
劇場版999を観て観て観倒して大人になったと自負する自分としてはいささか情けない話ではあるが、どういうわけだか「さよなら」は観ていなかった。
はじめは、なかなかタイミングが合わずに観そびれた、から始まり、なんだか気乗りがしない、途中で寝てしまってまあいいや、とか、とにかく観切ったことがなかったのだ。
第一作が良すぎて、もうこれで完璧だろう、これ以上はいらない!という思いもあった。
そして、今、初めて通しで観てみて、、
なんという映像美!イメージの洪水!
そして、999が吐き出す蒸気を携えて初めてスクリーン(ではないが)に現れたメーテルのなんと美しいことか!!
本当に、あらゆる映像世界で最も美しい女性だと言ってもいい。
命を削るような思いで描いたに違いない美しい映像がそこにはあった。
発表当時の時代状況を考えれば、本当にトップレベル、段違いと言ってもいい映像美だと思う。
ストーリーは重い。第一作の、エピソードの嵐、その全てが後々に繋がる伏線、ワクワクする冒険活劇といった雰囲気ではない。
言いたいことが有りすぎて頭でっかちになってしまった感もある。
多分、当時のスタッフには二つの思いがあったと思う。
これまでの様々な謎や未解決のことにケリをつけたい。つけなくてはいけない。
そしてもう一度、さらに美しい映像で999を描きたい。特にメーテルを!
ああ、でも、鉄郎も、めっちゃかっこ良くなってる!!
目が涼しげで、でも熱くて、男前だ。
おれの中の結論は、ものすごい技術を持ったファンが、ファンのために作った、ファンが求めて止まなかった作品、だ。
だから、おれはそういう方向で楽しむことは出来たが、本当の意味で娯楽として楽しむことは出来なかった。
逆に、999にあまり深くはまりこんでいない人の方が、ひとつの作品として楽しめるかもしれないし、あるいは、深くはまりこんだ人でもおれとはまた違う評価になることも当然あると思う。
おれ自身、もう一度、さらにまた一度と観てみればまた評価が変わるかも知れない。
でも今のところは、おれの中ではこれでいい。
それでも好きな作品のひとつにはなったのだし、おれの中でひとまずケリはついた。
しばらくはこの映像美にひたる形で楽しもうと思う。
関係ないが、おれはまだ本物のSLに乗ったことがない。
どこかのテーマパークの、本当の蒸気で動く豆蒸気機関車に乗ったことはあるが、ちゃんとした鉄道のSLに乗ったことはない。
いつか乗らねばと思っている。
走り出す前の長い汽笛を聞いたら、おれはきっと泣く。